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失敗しないクラウド化(1)

クラウド・コンピューティングは、IT資産を自社で保有するのではなく、外部ベンダーが保有するIT資産を活用し、利用ユーザー数や容量などに応じて対価を支払うものである。このため、初期費用の抑制や導入期間の短縮などのメリットが大きく、昨今の景気低迷や企業を取り巻く外部環境の変化から要請される、コスト削減や対応の迅速化といったニーズに合致したソリューションである。IT業界のクラウド・コンピューティングに対する傾倒は日に日に増しており、その認知度も、各種メディアの特集によりIT業界を超えて広がっている。

しかしながら、実際に自社でクラウド・コンピューティングを利用している、もしくは利用を検討しているという企業は非常に少ない。本稿では、なぜクラウド化は進んでいないのかを考察しつつ、クラウド化を失敗させないためにどのような準備をするべきかについて提言する。

なぜクラウド化は進まない?

コンサルティングの現場で多くのIT部門責任者に伺った理由や悩みは次のように集約される。「さまざまなベンダーがクラウドサービスを提案してくるが、提案された領域をクラウド化すべきか判断がつかない。」「クラウドの適合性について検討しろといわれても、何から手をつけたらよいか分からない。」

これまで何度もシステム化を経験されてきた担当者であっても、クラウドのような全業務・システムが対象となり得るコンセプトに対して、対象範囲や優先度の検討を行った経験のある方は少なく、二の足を踏んでしまうのである。

また、クラウド・コンピューティングの認知度の高さゆえに、各種ステークホルダーへの対応も必要となる。経営層や業務ユーザーはクラウド利用によるコスト削減や業務効率化に期待を高める一方、IT部門は、重要なデータを社外に預けることや障害対応が緩慢になることへの不安に目が行く。これらの期待や不安はいずれも正しいものであり、声の大きい人の意見をもとに推し進めると、優先度を見誤ったり、リスクを見落としたりして失敗に終わる可能性が高まる。

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