クニエ漫画グランプリ2021
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テーマ:志 『禿桜に一滴を』

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連載作品寸評コメント

たられば

たられば(@tarareba722
編集者

たられば(@tarareba722今回の6作品のなかでは一番「粗さ」のあった作品だと思います。またその粗さゆえの勢いがある作品でもありました。途中から登場した、刺青のある伐採おじさんに一番感情移入できたし行動原理に共感できましたが、なんとなく「作者の狙いとはちょっと違う読み方な気がする」とも感じました。マンガというよりは(寓意のある)絵本のような作品だなと思います。最後の写真、主人公の妹が写る写真のコマはよかったです。

シャープさん

シャープさん(@SHARP_JP

シャープさん(@SHARP_JP 日本昔ばなしのようなお話だった。ただし、めでたしめでたしと結んでおわり、「とは簡単に行かなかったのですが…」という最後のコマが「そうだよな、これは現代が舞台の話だったんだよな」と思い出させてくれて秀逸だった。
読み返してみれば、食うための仕事だからと悪事に加担する大人や、枯れた桜を咲かすなんて無理だという大人が、子どもたちの周囲を囲んでいる。ふたりの子どもは、そんな現実に抵抗して奇跡を起こしたのだ。だが桜が咲いたからといって、その土地の再開発が中止になるわけもない。それが私たちの現実というものだろう。だからこそ「僕らは今も抗い続けているのです」というラストはとても現代的な寓話に響いてくる。危機が訪れた時、私たちは強い意志でもって抵抗しなければいけないのだ。

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