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2019.05.08

インドネシアにおけるスマートロジスティクスの展開
~過酷な物流インフラの中での生き残り策の提言~ セミナー開催レポート

インドネシアの経済は発展を続けており、都市部ではEコマース利用も一般化しはじめ、物流にも変化が生じています。一方でインドネシアのロジスティクスパフォーマンスは、日本・中国・タイ・ベトナムなどに後れを取っており、特にコスト上昇への対応や物流品質の改善は大きな課題です。2019年4月23日、インドネシアのチカラン工業団地にて、アスプローバ株式会社、PT BAHTERA HISISTEM INDONESIA、株式会社クニエの3社が合同で開催したセミナーでは、今後、インドネシアのロジスティクスをどう変革すべきか、そのロードマップと具体的な手法を説明しました。

第一部 インドネシアにおけるスマートロジスティクスの展開について

株式会社クニエ ロジスティクス担当リーダー 前田賢二

ITの登場を契機にロジスティクスは進化しました。そして現在、AI・IoTなどの最新テクノロジーにより、ロジスティクスはスマートロジスティクスへ進化を遂げようとしています。QUNIEのロジスティクス担当は、スマートロジスティクスをロジスティクス4.0と定義し、ロジスティクスを労働集約から資本集約、最終的には知性集約産業へと変貌させるための考え方を発信しています

 

グローバル化する世界の中で、インドネシアを含む新興国の発展の道筋は、先進国が辿った道筋とは異なると予想されます。例えば通信の場合、先進国の主要な通信技術は、郵便→固定電話→携帯電話→スマートフォンへと変遷してきました。一方、新興国では、郵便→スマートフォンへと一足飛びに発展をする「カエル跳び現象」が起きています。ロジスティクスの倉庫・物流センター業務についても同様で、「現状はロジスティクス2.Xにある新興国が、ロジスティクス4.0もしくは、より4.0に近い3.Xまで一足飛びに発展する可能性がある」と前田は言います。

その一方、輸配送業務である集荷・発送・配達に関しては、インフラや法規制の整備を要することもあり、カエル跳び現象が起こる可能性は低いと言え、単純にAI・IoTなどの新技術を用いるだけでは輸配送における課題は解決せず、労働集約のなかで知恵を生み出す必要があります。

前田は、「インドネシアにおけるロジスティクス企業はこういった状況を踏まえ、日本型や欧米型のロジスティクス4.0とは異なる、アジア型ロジスティクス4.0に向かうべき」と提言しました。

 

第二部 インドネシアにおけるLight SCMの薦め

アスプローバ株式会社 上村義孝氏

インドネシアにおけるロジスティクスは刻々と変わる環境の中で、どの倉庫に在庫を持ち、どのルートで配送するかなどをタイムリーにシミュレーションし、コストやサプライチェーンの状況を把握・判断できる事が重要です。インドネシアに最適な、スケジューリングだけに特化したSCMソリューションを、既存のシステムと連携し安価に導入する、新しい発想のLight SCMについて、上村氏より紹介されました。

 

第三部 インドネシアにおける倉庫オペレーション改革の考え方

株式会社クニエ ロジスティクス担当 コンサルタント 篠田道子

インドネシアにおけるEコマースやシェアリングサービスの一部は、日本や欧米よりも早いスピードで拡大しています。急速な変化を遂げる社会・経済を支えるロジスティクスへの期待は大きく、企業のコア戦略としてロジスティクスを検討する必要があります。本パートでは、具体的な取り組みについて説明しました。

ロジスティクスのレベルを上げるには、ロジスティクスを大別する「倉庫」と「輸配送」の両業務に取り組む必要があります。篠田は、まずは倉庫、その中でも倉庫オペレーション改革に着手することを推奨しました。

倉庫オペレーション改革では、業務プロセス改善、WMS(Warehouse Management System)導入、定着化を行い、倉庫業務の生産性向上や物流品質の改善を実現していきます。「インドネシアを含む新興国での倉庫オペレーション改革を成功させるカギとなるのはWMS導入であり、その際、日本のように年単位でのWMS導入を計画していては、新興国の激しい環境変化に対応できない」と篠田は言います。そのため、WMSの標準プロセスに沿った業務プロセス改善、不要なカスタマイズやアドオンの排除、定着化までのモニタリングとチューニングによる、“短納期・低コスト・ノンカスタマイズ”でのWMS導入が重要であり、これらを実行するには、業務知識とWMS知識を兼ねそろえた人材が不可欠です。「業務プロセス改善、WMS導入が定着した段階でその次の展開として、ロジスティクス4.0に向けた取り組みに着手できる」と説明しました。

QUNIE QUNIE ロジスティクスについて
QUNIEのロジスティクス担当は、ロジスティクス戦略策定、物流プロセスデザイン、グローバルロジスティクス、庫内業務改善、輸配送業務改善、システム導入等をトータルに、また、日本国内だけでなくグローバルにサポートすることでお客様の経営課題を解決し、企業価値の向上に寄与いたします。メンバーは、物流業務とコンサルタント業務の経験をあわせもち、経験と知識、コンサルティング技法を駆使して高品質なサービスを提供いたします。
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